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政治不信

政治不信

 

熊本県五木村議会は2010年、議員の仕事ぶりを村民代表が査定し、報酬額を決める成果主義を導入した。委員4人が、議会質問の回数や質などを5段階で採点。最高評価なら月21万3千円を満額支給し、最低なら2割を減額する仕組みだった。

 

村は人口約1200人。「消滅可能性」が指摘される。「地縁や血縁なくして票集めは難しい」(現職)という政治風土。ダム計画の中止方針決定後、村の将来像を描けない行政や議会に住民はいら立った。「議員報酬は妥当なのかという不満が、導入の背景にあった」と元村幹部は明かす。

画期的試みは結局、当時の議長の不正行為が発端となって頓挫した。ある村議は「そもそも議員の活動を客観評価すること自体が難しかった」と振り返る。
佐賀県伊万里市議会は昨年、議員定数削減をめぐって揺れた。人口減と高齢化が進む長崎県小値賀町議会は、若い層の流出を食い止めようと、50歳以下の町議報酬を増額することを決めた。各地で再生に向けた試行錯誤が続いている。

報酬への厳しい目線は、人口150万の政令市議にも向けられている。福岡市議の報酬月88万円の使途などを伝えた記事(7日付)を読み、新聞社に電話してくれた男性は憤っていた。「年間1400万円をもらうほどの仕事をしているのか」。記事はネットニュースに転載され、約700件の書き込みがあった。

「政治は金がいる。報酬を下げれば、普通の人は議員になれない」。議員たちの言い分に一理あっても、有権者の不信の根っこは、報酬だけではない。取材先で何度も「議員の仕事ぶりが見えない」と聞いた。

地方議会には、重い役割がある。行政の仕事に不正や抜かりがないかチェックすること。住民の声を吸い上げて街づくりに生かす政策を立案すること。本来の仕事を果たし、住民に丁寧に伝える努力が十分なら、報酬の多寡がこれほど批判されるはずがない。

有権者の役割も大きい。投票を棄権する人が増えるほど地盤、看板、カバンが幅を利かす。候補の主張や人柄、日ごろの振る舞いを採点する最も重要な仕組み-。それが、有権者が等しく1票を投じられる選挙だ。

五木村議会の議場は土足禁止だった。傍聴者が履き替えるスリッパに、選挙管理委員会のメッセージが印刷されていた。「その一票 あなたの未来がかかってる」。いかにもお役所的な使い古されたフレーズ。けれども、統一地方選の低投票率が懸念される今、ほかに言葉が見つからない。